Photos in the Cloud

Photos.app

ついにAppleが新しい写真管理アプリPhotos.app を公開した。予想通りというべきか、iOSライクなシンプルでおなじみのデザインとインターフェイスになっている。Appleの現在のデザイン思想としては、左にメニュー一覧を表示し右にコンテンツというのは古い、コンテンツをできる限りいっぱいに表示させるべき、というのがあるのだろう。MacのiTunesもそんな感じに変化している。

さて、各メディアのファーストインプレッションを見てみると、Apertureのようなプロ向けではない、という印象のようだ。たしかにあのUIでは・・・ただ編集機能は割と豊富にあるようだ。自動補正やフィルタから、細かく修正も可能。だが、Apertureで出来たような、写真の一部だけを変化させるような機能はどうなんだろう。リリースされてからのお楽しみか。

Apple iCloud Photo Library

今回のウリはアプリ自身というよりiCloud Photo Libraryの部分だろう。iTunes Matchの写真版ともいえる、すべてをあちら側においていつでもどこからでもアクセスできるようにする機能だ。iCloud Driveの一部という位置付けのため、容量はiCloudの容量に準ずる。したがって、無料では5GBしかない。これをメールやiPhoneバックアップなどとシェアすることになる。絶対に足りない。そこで有料プランがある。

  • 5GB – Free
  • 20GB – $1/month
  • 200GB – $4/month
  • 500GB – $10/month
  • 1TB – $20/month

今私はすでに$1にプランで使用している。念のためのバックアップと、すでにiOS側でiCloud Photo Libraryを利用しているからだ。5GBは超えている。そしてMac側には90GBほどの写真があるので、リリース後は$4のプランに変更予定。iTunesMatchも契約しているが、やはりすべてのライブラリをいつでも利用できるのは便利だ。iPhoneには写真編集アプリが豊富にある。だが、基本的に端末内にある写真しか使用できない。Photo Libraryを使えば、すべての写真から選択できるようになるはずだ。

私のようなApple好きでなければ、こんなサービスにお金を払うのも嫌だ、というのが一般の人の考えだろう。そこでいくつか大体サービスを紹介しよう。

Google

最大のライバルのGoogleも同様のサービスがある。もともとPicasaという名前のサービスだったが今ではGoogle+に吸収されている。そのためGoogle+アプリの機能で画像の自動アップロードでiPhone内の画像をすべてあっち側に置いて管理することが可能なはずだ。PCやMacからでも専用のアプリでアップロードできるらしい。
ストレージサイズもGoogle Driveの容量次第。だが、2048pxの画像または15分未満の動画は対象外の無制限とのこと。

  • 15GB – Free
  • 100GB – $2/month
  • 1TB – $10/month
  • 10TB – $100/month
  • 20TB – $200/month
  • 30TB – $300/month

ちなみに、私は旧プランを継続利用中で、年額$5で20GB(合計36GB)。バックアップなどに利用している。

Microsoft

Apple、Googleと続けば、当然Microsoftだってやってるに決まってる。そう、OneDriveだ。これもGoogleDrive同様にオンラインストレージである。モバイルアプリに写真の自動アップロード機能が付いているが、今の所パソコン向けはないようだ。ファイル同期アプリはある。写真目的には使いにくい、といったところか。

  • 15GB – Free (自動アップロード機能を使うことで +15GBもらえる)
  • 100GB – ¥190/month
  • 200GB – ¥380/month
  • 1TB – ¥1274/month (Office365プラン。MS Officeアプリの使用権限付き)

Officeアプリの付加価値を考えれば1TBの容量が必要な人は検討すべきプランだ。写真は関係ないけど。

Amazon

Amazonも参入済みだ。AmazonについてはS3というストレージが有名だが、Amazon個人アカウントでAmazon Cloud Driveというものが存在する。ほとんど知られていないが。アプリはiOS向けがあり、自動アップロード機能がある。パソコン向けアプリは無いようだ。このサービスはKindleのパーソナルライブラリと共有することになる。

  • 5GB – Free (自分の場合15GBとなっている。Kindle利用者だから?)
  • 20GB – ¥800/year
  • 50GB – ¥2000/year
  • 100GB – ¥4000/year
  • 200GB – ¥8000/year
  • 500GB – ¥20000/year
  • 1TB – ¥40000/year

少し割高と言っていいだろう・・・

Dropbox

Dropboxも競合だ。この手のすべての写真を自動であちら側にサービスでは早い方だったかもしれない。Carouselというアプリだ。この後もLoomを買収するなど、写真機能を拡充している。だがDropboxはストレージ料金が高く、また同期型のサービスのためローカルで削除するとあっち側も消されてしまう欠点がある。iTunesMatchやiCloudPhotoLibraryはすべてをあちら側に置きこちらは消しても問題がない。

  • 2GB – Free
  • 1TB – ¥1200/month

なんやかんやで無料で26GBまで増えた。

Adobe

写真アプリでは最強のAdobeも忘れてはいけない。これまで紹介してきたのはオンラインストレージの写真利用、というものだったが、AdobeRebelはもっともiCloudPhotoLibraryに近いサービスだ。管理・アップロードするアプリもiOSやMac、PC向けにある。RAWファイルに対応している。ストレージではなく写真管理サービスなので料金もシンプルだ。

  • 容量無制限・月50アップロードまで – Free
  • 容量無制限 – ¥500/month

flickr

オンライン写真共有サービスとしては世界で最もスタンダードなサービスがflickrだろう。一般の利用者からプロまで幅広く利用されている。だが残念なことに日本語に対応していないため、日本では一般層にまで知られていない。これはflickrの親会社が米Yahooであり、日本のYahooJapanの領域である日本に契約上サービスできないためだ。もちろん英語で使う分には問題無い。だが日本語対応は今後もないだろう。flickrは他のサービスと違い、すべての写真をあちら側で、というものではない。iOS向けアプリ(日本のAppStoreにはない)には自動アップロード機能があるが、パソコンはただのアップローダーしかない。基本的に共有・オンライン公開のため、というスタンスだろう。もちろん、手動ですべての写真をアップロードすればよいし、非公開にできるので問題は無い。だが、iCloudにあるような、ローカルで編集した写真が自動的にオンライン上でも他の端末にも反映、ということは不可能だ。ローカルとの同期を考えなければ魅力的なサービスといえる。ストレージも!

  • 1000GB – Free!!!!
  • 広告なくなるだけ – $5/month

Box

最近上場したBoxも一応載せておこう。日本ではこちらもあまり知られていないが、ビジネス向けオンラインストレージとして人気だ。iOSアプリで自動アップロード機能がある。

  • 5GB – Free (キャンペーンで50GBの場合も)
  • 100GB – $10/month

日本にも多くの写真関連サービスがあるが、どれもパッとしないし、世界的なインパクトは皆無だ。セキュリティやサービスの存続性などを考え、世界的な企業を選択したほうが良いだろう。
無料でという人はflickrをオススメする。少し手間でもすべての写真をアップロードしてあちら側においておけば、バックアップとして安心だ。
AndroidやPCでも使いたい人はGoogle、お金を出してもいいからしっかりしたサービスというならAdobeも悪くない。もしAmazonがPrime向けサービスに写真保存無制限を追加(USAで実装済み)したらPrimeも検討するのもありだ。

iPhoneとMac使いなら迷わずiCloudPhotoLibraryにGOだ。もちろん有料プランで。iTunesMatchと合わせると年$100をAppleに支払うことになる。お布施と思えば安いものだ。

最後になるが、この手のサービスではEverpixが素晴らしいサービスだった。ローカルとクラウドをうまく同期し、オンライン上でも時間や場所により自動的にアルバムを作ってくれたりと、まさに次世代の画像管理サービスと言えるものだった。数少ないお金を出しても良いサービス(実際に有料版を利用してた)だったが、残念なことに2013年に息絶えた。終了後、スタートアップとしての記録をすべてオープンにしたのも素晴らしかった。Founderたちの今後に期待したい。

 

shiva