DPIについて考える

ネット情報すべて解析する技術 利用者から「使用やめろ」の大合唱

DPI行動ターゲティング広告の実施に対するパブリックコメント提出意見

こんな記事が出てます。DPI(Deep Packet Inspection)とは、簡単にいうと、通信の中身をもっとよく解析しちゃおうってことかな。ネットに詳しくない人は、なんだそれ?って感じだろうけど、これはネットに詳しい詳しくない関係なく影響してくる大問題なわけです。

言ってみれば、「あなたの通信の中身を見ちゃいますよ」ってことです。あなたが見てるウェブサイトや友達とのメールの中身をチェックして、その情報を元により良い”何か”に利用出来るようにしちゃいます、ってこと。

たとえば、HDDレコーダーを欲しいと思ってるあなたがいるとして、Amazonカカクコムなどで商品検索したりクチコミ見たりしてたとする。そこでISP(インターネットサービスプロバイダ=YahooBBやOCNなどネット通信を提供してる会社)があなたの通信内容をDPIの技術を利用して解析し「なるほど、この人はHDDレコーダーを欲しがってるんだな」ってことで、あなた宛にHDDレコーダーショップへのリンクが書かれた広告メールが届くようになるかもしれません。もしくは、Yahooニュースを見るときに、ページの一部をISPがHDDレコーダー広告に差し替えてしまう可能性も出てきます。

暗号化されていない(HTTPSでない)ウェブサイトを見たら全部途中で見られちゃいます。さらに、メールの中身を見られる可能性もあります。通信全部を解析するならね。プロトコル(httpかpopか)で適用区分を分ければ大丈夫かもしれませんが、メールのほうがより個人の趣向が現れますから、もし法律で許可されたならメールも見ることになるんじゃないでしょうかね。

まだこの案は議論段階ではあるが、もしこれができるようになったらという前提で、すでにBIGLOBEやOCNなどが導入する方向で検討中だとか。彼らにとっては、毎月の定額接続料に加えてDPIによる効果的な広告配信ができれば新しい収益が得られますからね。彼らには大きな利益ですが、一般消費者にとっては百害でしかないでしょう。もしISPが得体の知れない海外企業などに買収されたら情報がすべて流される可能性もでてきます。社内でどんな管理がなされているか確認することは難しいですからね。

さらに、より悪い方向へ行けば、NTTによる電話の盗聴が許可される可能性にもつながるものだと思います。ネット通信の解析も電話の会話の解析も同じようなものですからね。下手に「保険どこがいいのかな」なんて会話すると次の日から保険の勧誘が次々と来り、「あいつ超むかつく。ぶっ殺してやりたいよ」とか言ったら警察がくるかもしれません。

現状では法律で「通信の秘密」、他人の通信内容を盗み見てはいけない、ということが保証されています。DPIは未来社会のためにはベターな技術かもしれませんが、セキュリティとプライバシーを守るため、まだまだ多くの議論が必要になる。今後も注視すべし。