Kindleストアでコミックを売りたいなら無料にしろ

釣りなタイトルです。すいません。正確には「Kindleストアで巻数の多いコミックを売りたいなら初期巻は無料にしろ」です。まずは、下記の画像を見てほしい。

あこれはKindleストアのベストセラーのページである。これを見てわかるように、ランキングは有料と無料の両方が並べられている。これはAmazonの仕様で、MP3ストアでも同じだし、もちろんAmazon.comでも同じだ。

ランキングページは、最も多く見られるページの1つだ。いや、最も多く見られるページと言ってもいい。そこで、画像を見ていただくとわかるように、無料本のほうは、著作権が切れた本などが並ぶ。これはとてももったいない。もう一度言う、これは極めてもったいないのだ。

このページは最も多く見られるページであり、もっとも広告価値のあるページだ。そこに、権利切れでとりあえず載せただけの作品がトップに来ている。これが売れたところで、なんのメリットにもならない。そこでタイトルだ。

ワンピースのような巻数の多いコミックは、初期のもの、少なくとも5巻ほどは無料で配信し、この無料ランキングトップに掲載されるのがもっとも効果的だ。ここで無料版を購入した人が続きを読みたくなり、有料版を買うことになる。最初の1巻だけより5巻まで読み進んだ方がさらに有料版購入率が上がるだろう。

コミックの場合、売り上げ拡大するには、新刊を出すか、新規読者を獲得するしかない。巻数が多いほど新規読者を獲得するのは難しくなるはずだ。追いつくのに時間もお金もかかるからだ。巻数が多いだけで手を出さなくなる。そこを無料で配信し、とりあえず読んでもらう。見込み客を増やすのだ。

にもかかわらず、現状では、60巻を超えているワンピースも、1巻から最新巻まで価格は同じである。まぁ、ワンピースほどの人気作品なら「値下げしなくても売れるだろ?」って思惑なんだろう。たしかにそれはあるかもしれない。だが、そんな作品は稀だ。デジタル配信はコストが限りなくゼロに近い訳で、いろんな戦略を試すことが可能だ。ただマーケットに並べるだけではなく、どうやって客を増やすかなどの戦略を作品ごとに練る必要があるんじゃなかろうか。

 

Softbank acquire Sprint?

Softbankが米携帯通信キャリアSprintの買収を検討してるというニュースが走った。

Vodafone Japan買収の借金の完済も見えてきた今だから、次の大きな賭けに出ようとしてるのか。孫正義は、昔からけっこうな博打屋だったが、意外というべきか、彼の予想通りというべきか、致命的な失敗はまだない(と思う)。

野球のホークス買収時も、社外取締役の柳井氏(ファーストリテイリング CEO)は反対したというが、結果的には悪くない買い物だったのではないだろうか。日々のスポーツニュースで「ソフトバンク」という文字が出てくるのは、一般大衆にとっては身近に感じられるだろう。チームも毎年優勝争いをしており、新規参入した楽天よりイメージは良い。

話をもどすが、この買収が成立しても、そう簡単にはいかないと思う。あの世界トップの通信事業者Vodafoneが日本展開を大失敗したように、外国の異なる商慣習の下ではこれまでの経験があまり当てにならない。Vodafone Japanを買収したSoftbankは国内市場ということもありその後の戦略がうまく当たったが、海外ではそうはいかない。現在のSprintの経営戦略から大きく変更するということはできないはずだ。さらに、SprintはCDMA方式(AUといっしょ)なので、Softbankとはそもそも異なり一筋縄ではいかないだろう。今後のLTEからということになるか。米通信上位のAT&T、Verizonとは契約数で大きく差があり、国内市場同様に追いかける戦いとなる。これはお得意かもしれないが。

おそらく、Vodafone Japanを買収しうまく立て直し、現在に至るまで新規顧客獲得の戦いに勝利し続けてきたという自信が今回の買収を後押ししてるのだろう。正直、アメリカ市場のニーズなどはわからないのでなんとも言えないが、日本ほどうまくは行かないと思う。日本ではうまく行き過ぎたのだ。CMが大ヒットしたのも大きいし、iPhoneを早期に獲得できたのもある。

個人的イメージでしかないが、日本の保守的でトロいライバルと違い、アメリカのライバルは手強い。料金値上げの強き戦略も進めている。が、そこはいつも「無料」などの安さ革命で客を引きつけてきたSoftbankなら、Sprintでも安さで勝負するかもしれない。

アメリカのブログなどでは、この買収によりSprintの変革を期待してる人もいるし、孫正義の新たなチャレンジとしてはやりがいのあるものになるだろう。この買収とSprint立て直しを成功させ、彼の最後の仕事としてNTT買収でもしてくれるとおもしろいんだが。