Apple Eventについての感想

先日のAppleのイベントでiPad ProやiPhone6s、そしてAppleTVが発表された。イベントの模様はすでにウェブにて視聴できるので、見てない人は見ると良いだろう。日本のメディアが紹介するテキストと画像ではわからない部分も多くあると思う。幸運にもAppleのイベントはいつもわかりやすい英語で話してくれる。英語を勉強してる人にも良い教材となるだろう。その点、Googleのイベントは早口でくだけた英語で聞き取りにくい。

さて、個人的に思うところを書いていこう。イベントの紹介順に従い、Apple Watchから。 特に新機種などはなく、Sportのピンクの追加とエルメスモデルProduct Redバンド(収益の一部を慈善団体に寄付)などが発表されたが、個人的に注目したのはデモだ。デモでは医療関係のアプリ・サービスを開発しているAirStripが患者の心拍などをモニターする機械の情報をAppleWatchに表示するものを紹介した。いつでもどこでも患者の状態を確認でき、看護師などの問い合わせや返答などがAppleWatchでできる。AppleWatchをただのオシャレツールやiPhoneのオマケのような存在ではなく、しっかりとした存在感の持てる端末にできる可能性を示したと感じた。WatchOS2でネイティブアプリが動かせるようになるが、それからがやっとスタート地点に立ったところだ。これから続々とAppleWatchの活用事例がでてくるはずだ。これまでが何もできず話題にもできなかったのだから。”売れてないのでは”という噂もよく聞かれたWatchだが、ホリデーシーズンに向けて販売数は上がると予想する。そして来年の新機種発表時には、今より多くの国での販売も加わり、一段と大きな製品担っていくと思う。

続いてiPad。事前にリークなどの通り、今年はiPhone発表会でiPad Proが発表された。通常は翌月に別のイベントを開いていた。iPad Proは12.9インチで4GB RAM。A9XチップはIntel Core i5を超えるほどの処理能力があるらしい。イベントでもフィルシラーがデスクトップクラスと何度もアピールしていた。iPad自体の売り上げは低迷気味で、今回の狙いはエンタープライズ。クリエイティブな仕事をしている人に利用してもらうためだ。そのため、Apple PencilSmart Keyboardを追加してきた。Surface対抗なのは間違いない。(にもかかわらずMicrosoftがデモに登場したのには驚いた)
サイズ的にもラップトップの代替な感じで、通常の遊び利用で買う人は少ないだろう。価格が高いし大きすぎて扱いにくい。Surfaceは通常のWindowsとしても利用できるが、iPad ProはiOSのみで、マルチタスクなどで大きな制約がある。なかなか苦戦するだろうと予想する。そこまで大きな売り上げ貢献にはならないだろう。iPad mini 4も同時に発表されたが、フルサイズのAirは新型はなく、買い替えを予定していた人は残念な結果だ。自分もそろそろiPad 3がきつくなってきた。

Apple TVも長い間待たされてきた製品だ。ついにAppStoreの追加の時だ。それにSiriやタッチリモコンなど、iOS製品の特徴を順調に取り込んできたと言える。”テレビの未来”とのことだが、テレビのテレビたるところは、スイッチオンすればすぐにコンテンツが流れてくる点だ。いちいち見たいコンテンツを選ぶ時間と余裕をユーザーが受け入れられるか。見たいものがあるならしっかり選ぶだろうが、とりあえずテレビをつけて、流すのが目的の人にとってはわずらわしいだけだろう。この点は今後改良が必要になってくるだろう。ユーザーが見たコンテンツを分析し、テレビをつけたらすぐに(とりあえず)オススメのコンテンツを流し始める、というような機能が求められる。最後に見ていたテレビ番組の次のエピソードなど。
基本的にNetflixやHuluのような有料サービスを見ることになるので、無料の地上波が主流の日本で大きな普及はないだろう。そもそもAppleTVの存在を知らない人ばかりだ。初代は2007年の発売。現行バージョンも2010年から。Hulu視聴やAirPlayでよく使っている。
新型はいつでもSiriでコンテンツを探したり、通常のSiriの仕事のように天気やスポーツのスコアなどを答えてくれる。動画コンテンツはAppleが1つにまとめて管理し、詳細ページからどのサービスで視聴するか選択して再生できる。これはすごく助かる。いちいちNetflixとHuluをいったりきたりして探さなくてもいい。
情報ではAppleTVのSiriは日本語を理解できるらしいので、日本も初期販売国になる可能性が高い。即ポチである。
リモコンもタッチ対応に進化し、ゲームをするのにも利用できる。デモではCrossyRoadのマルチプレイヤーをやっていたが、なかなかの出来だった。ヘビーなゲーマーを取り込むのは難しそうだが、カジュアルゲームをみんなでワイワイやったり、iPhoneではやりにくいアクションやRPGなどをコントローラーを使ってテレビで遊ぶ、というのは魅力となる。特にFFシリーズは毎回コントローラーで減点されている。別売りのMFiの普通のゲーム機のようなコントローラーでプレイすれば、まさにPlayStationのようなイメージで楽しめるだろう。問題は、AppleTV向けにゲームをリリースしてくれるかどうかだ。既存のAppleTVはiPhoneのようには売れていないので、開発資源を投入するのはリスクがある。現実的には、動画視聴向けに購入したユーザーに対して2番目の特徴としてゲームを進めていき、数が出たところで、ゲームがより主役に近づくといった感じか。それでもPlayStationやXboxなどに対抗するには何年もかかるだろう。GoogleもAndroidで同様のことをやってくるだろうから、今後ゲーム専用機の方も競合が増え難しい市場になっていく。
Apple Music for Apple TVは、どうやらこの新型を示していたようで、既存のAppleTVにはApple Musicは対応しないのが残念なところ。

iPhoneについて。2年ごとにデザインを変更し、間の年は中身のハードウェアを進化させる、というプランになっており、今回は中身の進化となった。iPhone 6sはApple Watchで登場したForce Touchに対応し3D Touchという名称となった。タッチ以外に強く押し込むというアクションをソフトウェアに実装できるようになる。なかなかおもしろい操作ではあるが、操作しにくいWatchでは大いに利用の利点があるが、余裕のあるiPhoneでは使いどころ・実装のしどころが難しいと思う。あるとちょっと便利になるけど、なくても全然問題ない、という印象。3D Touchに付属したといっていい振動で押し込みに答えるHapticがどんなおもしろいことができるか、というのはあるかもしれない。そのほか、チップやカメラが順調に進化した。LivePhotoという動く写真はおもしろいが、無駄に容量を食うことになる。動くものがとりたいなら動画でいいんじゃないか、と思ったり。 AndroidからiPhoneへの乗り換えサポートするアプリについても言及されたので、早い段階で登場すると思われる。Apple Music for Androidについては何もなかった。iPhone Upgrade Programというサブスクリプションで常に最新のiPhoneが持てるサービスを米国で始める。これがあればMVNOとの組み合わせで最強のiPhone生活ができるかもしれない。

最後に、Rebuild fmでチップマニアの人と今回のイベントについて語っているエピソードは必聴だ。