Softbankが米携帯通信キャリアSprintの買収を検討してるというニュースが走った。
Vodafone Japan買収の借金の完済も見えてきた今だから、次の大きな賭けに出ようとしてるのか。孫正義は、昔からけっこうな博打屋だったが、意外というべきか、彼の予想通りというべきか、致命的な失敗はまだない(と思う)。
野球のホークス買収時も、社外取締役の柳井氏(ファーストリテイリング CEO)は反対したというが、結果的には悪くない買い物だったのではないだろうか。日々のスポーツニュースで「ソフトバンク」という文字が出てくるのは、一般大衆にとっては身近に感じられるだろう。チームも毎年優勝争いをしており、新規参入した楽天よりイメージは良い。
話をもどすが、この買収が成立しても、そう簡単にはいかないと思う。あの世界トップの通信事業者Vodafoneが日本展開を大失敗したように、外国の異なる商慣習の下ではこれまでの経験があまり当てにならない。Vodafone Japanを買収したSoftbankは国内市場ということもありその後の戦略がうまく当たったが、海外ではそうはいかない。現在のSprintの経営戦略から大きく変更するということはできないはずだ。さらに、SprintはCDMA方式(AUといっしょ)なので、Softbankとはそもそも異なり一筋縄ではいかないだろう。今後のLTEからということになるか。米通信上位のAT&T、Verizonとは契約数で大きく差があり、国内市場同様に追いかける戦いとなる。これはお得意かもしれないが。
おそらく、Vodafone Japanを買収しうまく立て直し、現在に至るまで新規顧客獲得の戦いに勝利し続けてきたという自信が今回の買収を後押ししてるのだろう。正直、アメリカ市場のニーズなどはわからないのでなんとも言えないが、日本ほどうまくは行かないと思う。日本ではうまく行き過ぎたのだ。CMが大ヒットしたのも大きいし、iPhoneを早期に獲得できたのもある。
個人的イメージでしかないが、日本の保守的でトロいライバルと違い、アメリカのライバルは手強い。料金値上げの強き戦略も進めている。が、そこはいつも「無料」などの安さ革命で客を引きつけてきたSoftbankなら、Sprintでも安さで勝負するかもしれない。
アメリカのブログなどでは、この買収によりSprintの変革を期待してる人もいるし、孫正義の新たなチャレンジとしてはやりがいのあるものになるだろう。この買収とSprint立て直しを成功させ、彼の最後の仕事としてNTT買収でもしてくれるとおもしろいんだが。