フランスでは3回不法な著作物をダウンロードしたらネット禁止にする法案が否決されたが、世の中は著作物の自由な流通を認めるべきだ、という流れになっている。TechCrunchでもそんな雰囲気だ。
「レコード会社は音楽の無料配信またはDRMなし配信を止めることはできないんだから、あきらめて新しいビジネスモデルを考えろ」
といった具合だ。たしかにネット上に1つ著作物が流されるとその流れを止めることは不可能に近い。もしロックをかけたとしても、それを解くことに熱意をもった人たちが世界中にたくさんいて、いたちごっことなる。
だからといって、権利者にあきらめろ、というのは酷な話だ。彼らも投資をしてその商品・資産を作ってきたわけだ。だが、音楽のデジタル・オンライン化を止めることができないのは確かだ。その上で新しいビジネスを考えるのは適当だろう。だが、無料で配ってその後のことをビジネスにしろ、というのは何か違和感がある。自分の家のドアから鍵をはずし、「さぁ泥棒よ持って行ってくれ」そのあとにどうやって儲けるか考えるよ、とはいかないよ。「もし気に入ったなら、少しでイイから代金おいていってね」なんて言っても泥棒がおいていくわけもない。
それなら、やはり法整備によって、しっかり保護すべきところはして、自由化すべきところはする。それしかないだろうと思う。権利者と消費者間で和解できるとは思えない。
音楽については、多くの議論もあり、進みつつあるが、動画はまだ混沌としている。音楽の場合、きっちり1曲がアップロードされるが、動画の場合、1プログラムの1部分だけがアップされることが多い。一部分だけならプロモーションにもなるだろうと、沈黙を守る権利者もいるだろうが、じゃあ何秒までOKだ、なんて決めても、ユーザーが守るとは思えないし。かといってすべて禁止にもできない(音楽と同じ理由)。
ユーザーとしては、手に入らないものならしょうがなく違法ぽくても手に入れたいと思うはずだ。20年前のサザンのライブ映像なんて今ではお目にかかれない。テレビ局の倉庫に眠ってるだけでは意味がない。だから違法DLで手に入れるほかないのだ。ようは、ユーザーが欲しがっているものは、しっかり提供することが大切だ。
ロングテールと言われたように、動画こそロングテールだ。マニアックな映像を見たがっている人はたくさんいるはずだ。テレビでは流せない一般大衆向けではないものはネットで流せばいい。テレビ局や権利者の倉庫に眠っている資産をすべてオンラインに載せればいい。あとはペイパービューやサブスクリプションでの見放題などで、新しい収益を得られる。
有料でも合法で見られるなら(一部のモラルの低いユーザーを除いて)ユーザーもお金を払うはずだ。しかし価格設定は重要だ。1本300円とか、個人的にはありえない。高くても50円がいいところだろう。高すぎると違法の無料のものに流れる。安ければ、それくらいなら、と支払う人も増える。
あとは、違法DLをいくらか制限する法律を作ることだろう。違法ULは積極的に摘発せよ。
最後に、商品・サービスには対価を支払うべき、という考えをユーザーに再教育することが大切だ。無料が当たり前と思っているネットユーザーの多いこと・・・